# 映画「第九条」は8月15日からアンコール上映が決定

昨日、横浜のブリリア・ショートショート・シアターで映画「第9条」を見てきました。
昨日は最終日ということで、予告はなかったのですが、映画のあとで宮本監督のお話がありました。

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映画を作るきっかけは第二次安倍内閣が発足したこと。
安倍首相が憲法の改定を言い始めたから、政治家が言い始めたことは実現に向かっていく。
これはそういう風に向かっていくんだな、と思ったことが映画を作ったきっかけ。
どちらがどうなるかはわからないが、議論がなされないまま決まるのが怖い。
政府は世論のコントロールを僕たちが気づかないうちにやっていくのが権力者側。
国民の関心が盛り上がらないまま、国民投票に向かっていくのが恐ろしい。
日本国民は議論が苦手。
怖いのは、あるとき風が吹いてしまうと右向け右になりやすい。
問答無用だとか、自分と対立する意見については議論を拒否する傾向がある。
自分の反対意見が出たとき、それを相手の反対意見をリスペクトして話し合っていくのが未成熟。
そういうことを考えて、これは重大な問題なので、とことん議論をつくして答えが出るのならいいけど、
そうならないで世の中が進んでいくんじゃないかと危惧する。
この映画は、今、作らねばならないと思って作った。

議論されていることは本当だけど、設定はフィクション。
この映画はドラマ。描かれていることを信じ込まずに調べてもらいたい。
コンセプトは、9条に関心を持ってもらう。9条について考えてもらう。
それで議論する形がいいだろう、という形になった。
一方の意見を押し付けるようなものではなく、
いろんな角度からみていくことを心がけて作っていった。
できるだけ中立でバランスをとった映画にしようかと思ったが、最後は監督の意見、9条はすばらしいという自分の思いが出てしまった。

いろんな意見を見ていただいて、押し付ける形ではなく、その上で、最後、こういう考え方はどうでしょうか、とみていただいたお客さまになげかけるという設定の映画。

若い人に映画を見てもらいたくて、俳優さんもイケメンを選んだ。
俳優さんは、長いセリフもこなして頑張ってくれた。
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監督の話はそういうお話でした。
映画は昨日が最終日でしたが、好評につき8月15日から同じ映画館でアンコール上映が始まるそうです。

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ここからはネタバレになりますから、ご注意。
1957年に公開されたアメリカ映画「12人の怒れる男」 http://movie.muryo-eiga.info/article/383267397.html   をおもわせる設定だった。

マイナンバーで無作為に選ばれた20代の若者12人が憲法9条を維持するか、破棄するかを全員一致の答えがでるまで話し合って、決めるというのだ。
12人の意見は映画の中ではまとまらない。
とことん話合うことが必要だという監督の意図であり、自分と違う考えもリスペクトして聞くことが大事であるということを伝えているのだと思うが、議論で解決するという難しさが伝わってくる。

ただこの映画で気になったのは、司会役を受け持つ弁護士の青年の意見は、憲法9条は破棄であり、彼が日本国憲法制定のいきさつを、話すことから話し合いが進んでいくのですが、
そのいきさつが、改憲派の人たちが常に主張する話のままであり、「アメリカから押し付けられた、占領時のときの憲法だから変えねばならない」というものでした。
それに対して、護憲派の人たちの主張がなかったということが気になっています。
いきさつなどぜんぜん知らなかった人がこの映画を見たとき、そういう経緯だったのか、と思ってしまうのではないかと思いました。

映画「日本の青空」を見た私にはとても違和感を覚えるものでした。
「日本の青空」では<取材を進めているうちに、戦後まもなく鈴木安蔵を中心として、高野岩三郎ら民間人による「憲法研究会」が作成した画期的な憲法草案が、実はGHQ憲法案をつくる際のお手本となっていたという事実が明らかになってくる。>ということでした。

日本国憲法の成立の経緯そのものから、改憲派護憲派では主張が違うので、中立という立場で映画を作ったというのなら、その両方を映画の中でで語ってほしかったと思います。
特に憲法9条戦争放棄の提案は幣原喜重郎総理だったということはだれかが語ってほしかった。

決して改憲派がいうようなアメリカから有無を言わさず押し付けられた憲法ではなかったというのが、私たちの認識です。

9条があったから日本は戦争しないでこられたというのに対し、
平和だったのは憲法9条があったからではない。アメリカ軍に守られていたからだという。軍隊があれば、核があれば拉致もなかったという9条破棄派。
核についても、護憲派には、日本は原爆の被害を受けたのだから、そこから核は反対だと発言してほしかった。

同じく、9条破棄派の太平洋戦争は侵略戦争ではないという意見。太平洋戦争というのも違う。あれは大東亜戦争で、日本はアジアを白人社会から解放したのだからあれは侵略ではない。

こういう意見を初めて聞いた人たちはどのように思うだろうか。
これって、単なる意見の相違でかたづけられるものだろうか。
歴史認識の問題になってくる。

9条を守りたい私からみたら、9条破棄派の人の声が大きいから、何もわからずにあの映画を見た人たちは、なるほど9条では国は守れない・・・と思うのではないかと、不安になりました。

どっちが正しいとか、そういうことを映画を見ていて、考える間はないかもしれないが、せめて、
憲法9条を維持しようとする女性の「戦争の場にいる自分を想像してほしい」という訴えが、、映画を見ている人たちの心に届くことを願っています。

9条は日本だけの問題ではない、世界を巻き込んで、戦争をなくすリーダーに日本はならねばならないという若者の訴えのあと、何度目かの採決に入ります。それは、映画を見ているものに向かって、維持か破棄かを問いかけて、映画は終わります。
この映画をきっかけに「憲法とは何か?」 憲法改正について関心を持つ人が増えることを願っていますが、「第九条」だから憲法9条を守ろう、という立場の映画と勝手に思って見に行きました。
若い人対象の映画だから、考えを押し付けてはいけない、自分で考えてほしい、という思いで作った映画なのでしょうが、改憲派の意見が大きな声で語られる映画だったような気がします。
護憲派の人たちは「それでも戦争は嫌だ」とか、感情論でしか語れてなかったのが残念でした。

アメリカ映画「12人の怒れる男」では、最終的に12人の意見は一致して、無罪の判決を出すのですが、殺人事件の場合、真実はひとつですから、話し合っているうちに正しい答えにたどり着くことはできるわけです。
しかし、憲法9条を維持するか、破棄するか、この答を出すのはどうやったらいいのでしょうか。

今、私たちが直面している自民党改憲草案に基づく改憲については、まず、改憲案を知ることから始めないと、話し合いの席にはつけないのではないかと思います。

自民党案による改憲は、いきなり9条からではなく、緊急事態条項の追加、という形でくる可能性が高い。それは自然災害に対するものではない、ということから伝えていかないといけないと思います。

国民投票で投票してから、あとで後悔しないように、自民党改憲案については必ず読んでほしい。

改憲勢力3分の2に好意的な人の82%が自民党改憲案を読んだことがないのです。
改憲案を知らないことには賛成も反対も言えないのではないか、と弁護士の太田啓子さんも言っています。
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28年前に創価学会の婦人部が作った漫画に次のようなのがあります。
その一部です。
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この漫画は下のURLで全部読めます。ぜひ読んでください。公明党が平和の党だった時代に創価学会婦人部が作った漫画。↓「私たちの平和憲法

映画が終わったあと、みなとみらいの空。新高島の駅に向かってあるいていたら、夕焼けがきれいだった。19時1分。まだ明るい。
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