憲法改正は憲法96条から。

安倍晋三首相は130日の衆院本会議で、憲法改正について「まずは96条の改正に取り組んでいきたい」と述べ、憲法改正要件の見直しに強い意欲を示しました。
憲法96条とは
 96 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
 2.憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。
 
どうして憲法96条。
憲法の改正の発議には国会の各議員の総議員の三分の二以上の賛成が必要となっています。今まで、国会議員の三分の二の賛成を得ることが難しかったのですが、昨年の衆議院総選挙で、憲法改正に賛成の議員が三分の二になったようです。だから、安倍首相は、まず96条から改正して、憲法改正に必要な議員の数を総議員の二分の一にして、いつでも憲法を改正できるように準備しようとしているのです。憲法96条の改正は憲法9条の改正につながっていくのです。
 
九条の会から全国の九条の会への呼びかけ文が出されています。
 
その中から澤地久枝さんの呼びかけの一部をここに載せます。
衆議院選挙の結果、自民党は3分の2以上の議席を占めた。これから来る参議院選挙は、憲法の前途、日本の未来にとって、重要な意味をもつ。結果を決めるのは最終的にわれわれであることを確認したい。いまや憲法9条の最大の危機である。3年余り前に政権交代が実現したように、財界よりで軍事優先の政治を阻むため、わたしたちは知恵をつくすべきだ。憲法擁護、反原発で一致する候補者との協力を考えたい。かつてコンゴのルムンバ首相が窮境に直面し、悪魔の力でも借りたいと言ったのを思い出す。
安倍内閣の動静から感じられるのは、有権者の意向がどう揺れるか、形勢をみているということ。反原発の動きに対して、核エネルギー否認は間違えという論調が目立つようになった。安倍首相は財界と批評家のきわだつ声に、安堵しているかもしれない。経済産業省正面のハンスト小屋はいまもあり、つめている人たちがいる。そして政治は、世論の動きをはかっている。
 
澤地さんは「結果を決めるのは最終的にわれわれであることを確認したい」と言われています。それは、憲法改正を決めるのは最終的には国民投票であるということです。
 
国民投票法は2007年5月18日に成立し、2010年5月18日に施行されました。
その法律には最低投票率も決められていなく、多くの国民の反対の中で強引に成立したものです。
 
国民投票がだんだん現実味を帯びてきましたが、そもそも憲法とはなんであろうか、ということを2007年に発行した「風のたより」に書いています。
今、知らせたいことなので、私が代表をしている「平和を考える風の会」が発行している「風のたより(2007年5月発行)」を再編集してここに載せます。
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風のたより  No.  2007年5月発行         平和を考える風の会 
              (2007年5月発行のニュースです)
  戦争をしないと約束した憲法を守りたい!
 
憲法 とは その国の基本的なあり方を決める法のことです。
憲法の役割 は権力を縛り、国民の権利を守るものなのです
 
これは立憲主義に基づいた考えです。
立憲主義とは法の支配によって国家権力の行使を拘束・制限しようとする原理のことです。
 
政府・与党は、憲法の役割を権力抑制よりも国民統治に重点を置こうとしているのです。新憲法には国民の責務を書き込むべきだと言っています。例えば家庭を守る義務、道徳心など。
現行憲法に書かれている国民の義務は子どもに教育を受けさせる義務・納税・勤労のみです
何より権力を縛っている憲法を、権力の側(首相)から作り直すと公言することが民主主義にかなっていないのです
                             
国家権力を縛り国民の権利を守る憲法
国民を縛る憲法に変わってもいいですか?
 
今、議論されている国民投票法案の下で、改正へのハードルが一番高いと思われる9が変えられてしまったら、政府・与党の思惑通りに国民を統治しやすい憲法があっという間に誕生してしまうことになるかもしれないのです。
  どうなる国民投票法案(2007年)
2007年4月13衆議院通過
国民投票法案の与党修正案が413衆議院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、参議院に送られました。民主、共産、社民の3党が与党案に反対。国民新党は退席しました。416日に参議院憲法調査特別委員会で審議入りしました。
 
参議院での争点
公務員や教員は、憲法改正の是非について自由に意見を言えるのか
「公務員の政治活動を野放しにすると、改憲阻止の法案になってしまう。自治労日教組が反対運動をすれば、改憲が難しくなる。」というような意見が自民党の中から相次いであがり、結局、修正案では、公務員の「政治的行為」に制限を加えたのです。
ところが公務員に制限を加える自民党案は 憲法99に反しているのです。公務員は憲法を擁護する義務があるのです。
 
憲法99条 憲法尊重擁護義務  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他
公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。
 
最低投票率について
与党案では、投票率の高低にかかわりなく、有効投票数の過半数の賛成があれば、憲法改正が成立してしまいます。投票率40%にとどまった場合、有権者のわずか20%の賛成で憲法が改正されてしまいます。
朝日新聞が2007年414日と15日で行った世論調査では80%の人が最低投票率の導入を必要と感じているのに、国会ではほとんど議論がなされていません。 
         <風の声> 
参議院での審議もむなしく、国民投票法案の成立は確実のようです。審議されたことは法案に反映されるのでしょうか。国民の多くは憲法9条を守りたいと思っているのに、安倍首相は日本を戦争のできる国にどんどん変えようとしています。
 
 
国民投票法は2007年5月18日に成立しました。
そして、今、憲法改正をしやすくするために、憲法9条を改正する前に、憲法96条の改正に安倍首相は手をつけようとしています。
国民投票が現実味を帯びてきているのです。
 
 
我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る(かもがわ出版)1400 
防衛省元幹部3人が執筆した本です。執筆者のひとり小池清彦氏が湾岸戦争のときに感じたことをこの本の中で次のように語っています。「その時私は、平和憲法は国の宝だと思いました。この憲法があるがゆえに、日本人は海外で血を流さずにすんでいるのだと実感しました。
 
 
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日本国憲法第二章 戦争の放棄
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
 
戦争をすると書いている憲法はどこの国にもないので、1項は当たりまえのことなのです。重要なのは第2項です。
自民党が発表した「日本国憲法改正草案」は2項を削除して、国防軍を保持すると書いてあります。
 
また憲法9条を改正して、集団的自衛権が使えるようになり、アメリカについて行って戦争をするのは、政府首脳の人でもなく、安倍首相でもなく、まずは自衛隊員なのです。次はわれわれ国民です。朝日新聞414,15日(2007年)に行った世論調査でも78%の人が9条が日本の平和に役立ってきたと答えています。   
 
日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受けたとき、それは日本への攻撃と同じとみなし、日本が直接攻撃されていないにもかかわらず、戦争をすることができる権利です
 
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昨年4月28日に藤沢湘南台駅前で行った「憲法を守る?変える?」のシール投票では
9条を守る199
わからない28
変える  25
で圧倒的に憲法9条を守ると答えた人が多いのです。
ボードの中の一枚。↓
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憲法9条を守るためには、憲法96条から無関心でいてはいけないのです。