集団的自衛権行使につながる「国家安全保障基本法案」とは

「国家安全保障基本法案」
 
安倍晋三は「国家安全保障基本法案」を次の臨時国会出そうとしています。
もし、「国家安全保障基本法案」が成立したら、麻生が言っていたように、ナチスにならってこっそり憲法を変えればいい、と言ったその言葉通りになります。
 
麻生太郎憲法はある日、気づいたらワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。 あの手口に学んだらどうかね」
 
憲法9条を改正することはなかなか難しいと察している安倍晋三は、国民の知らぬ間に、こっそり憲法9条を無力にしようとしています。
もし、「国家安全保障基本法案」が成立したら、もう憲法9条は意味がなくなります。
「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」としている憲法9条第二項。
湾岸戦争で、自衛隊多国籍軍に参加させるようにせまったアメリカのジョージ・ブッシュの要請を「憲法9条第二項で、日本は戦争をしないことをダメ押ししている」のだから、海部首相(当時)は断ったのに、安倍晋三は、憲法9条を無視して、集団的自衛権を行使できるような法案を成立させ、長年のアメリカからの圧力に屈しようとしているのです。
 
「国家安全保障基本法案」とはhttps://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-137.pdf ←こちらをみてください。
第3条 (国及び地方公共団体の責務)
2 国は、教育 科学技術、建設、運輸、通信その他内政の各分野において、安全保障上必要な配慮が払われなければならない。
 → 教育。それは教科書の問題につながります。育鵬社のような教科書が今後増えていくかもしれません。
 
3.国は、我が国の平和と安全を確保する上で必要な秘密が適切に保護されるよう、法律上・制度上必要な措置を講ずる。
→ 秘密保全法案も同時に提出される。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130822/k10013941901000.html
国に都合の悪い秘密をばらした公務員や公務員から不正に秘密を聞き出した者は最高10年の刑に処せられる。
 
第4条(国民の責務)
国民は、国の安全保障政策に協力し、我が国の安全保障の確保に寄与し、もって平和で安定した国際社会の実現に努めるものとする。→国民も協力
 
第8条(自衛隊
外部からの軍事的手段により直接または間接の侵害その他の脅威に対し我が国を防衛するため、陸上、海上航空自衛隊保有する。
→ アメリカが攻撃されたとき
 
第9条(国際平和の安定と確保)
三 開発途上国の安定と発展を図るため、開発援助を推進すること。なおこの実施に当たっては、援助対象国の軍事支出、兵器拡散等の動向に十分配慮すること。
武器輸出
 
第10条(国際連合憲章に定められた自衛権の行使)
第2条第2項第4号の基本方針に基づき、我が国が自衛権を行使する場合には、以下の事項を遵守しなければならない。
一 我が国、あるいは我が国と密接な関係にある他国に対する、外部からの武力攻撃が発生した事態であること。
→ アメリカのこと。アメリカが侵略して行った国で、アメリカが攻撃されたとき。
 
二 自衛権行使に当たって採った措置を、直ちに国際連合安全保障理事会に報告すること。
→ 安全保障理事会の決定に基づいて行動するのではない。国連の決議なし。アメリカの要請で戦争に行っても、国連にはあとで報告するだけ。
 
三 この措置は、国際連合安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置が講じられたときに終了する。
それまでは終了しない。アメリカが攻撃している間は、日本は支援をし続けることになる。
 
第10条↑の一~三 が集団的自衛権にあたる。
 
この法案は憲法9条に抵触するから内閣法制局に認められるはずがなかったが、今回、この法案提出に先立って、安倍首相は内閣法制局長官を変えた。
新しい内閣法制局長官は、集団的自衛権行使容認派の外務官僚小松一郎
 
この法案は内閣法制局の審査を通過すれば、国会に提出される可能性が高く、そうすれば多数決で成立してしまう。
 
この法案を読むと、国をあげて、アメリカを支援しようとしているのがわかります。
それは教育の分野にまでおよび、育鵬社のような戦争賛美の教科書が広がっていくことになりそう。
そして、秘密保全法案を盾に、国は国民の知る権利を封じ込めていく。
 
今、「戦争をしないと約束した憲法」が、誰もきづかないうちに、まさに麻生太郎のいう「ナチスの手口」で
「いつでもアメリカの言われるままに戦争に参加できる憲法に」変えられようとしているのです。
 
戦争になってもこの法案を考えた総理も元総理も前線にはいかないのです。
戦争は国民を犠牲にするものなのです。
それもこれも去年の暮と今年の夏の参議院選挙で自民党が圧勝したからです。
無関心でいても無関係ではいられなかったのです。
 
今日の朝日新聞世論調査が載っています。
集団的自衛権」の行使について、解釈変更に「反対」が59%。
賛成が27%で、反対が大きく上回った。
 
安倍首相はこの世論を無視して、集団的自衛権行使に舵を切るのでしょうか。
 
 
日本国憲法の前文は
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。(以下は次をみてくださいhttp://www.houko.com/00/01/S21/000.HTM
 
この前文で大切なことは、出だしが「日本国民」で、「決意した」のは日本国民で、この憲法を確定したのも日本国民なのです。
 
ところが自民党憲法草案の出だしは
日本国は 長い歴史と固有の文化を持ち、国民投票の象徴である天皇を戴く国家で、あって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。(以下は次を見てくださいhttp://www.jimin.jp/policy/policy_topics/pdf/seisaku-109.pdf#search='%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E6%86%B2%E6%B3%95%E6%94%B9%E6%AD%A3%E8%8D%89%E6%A1%88'
 
自民党の考える憲法の前文の出だしは「日本国」なのです。主役は国民ではなく、国なのです。
そして「日本国民は、国と郷土を誇りと気概をもって自ら守り・・・・」とあって、日本国民は主役の国を守る義務があると、憲法に書かれているのです。
どんなに基本的人権国民主権、民主主義などの言葉を使用しても、国が主役で、国民の上に天皇を戴くことを決めた憲法では、それらの言葉はむなしく響きます。
 
憲法9条の改正せずに集団的自衛権を行使できる法律を憲法を無視して作り、そして、もしこのような自民党の作った憲法に変わってしまったとき、日本の未来はどうなるのか。
第二次世界大戦の大きな犠牲の上に獲得した平和憲法を失うことになったら、あの大戦で亡くなった多くの人にもうしわけが立たないのです。
 
日本がどうやって、集団的自衛権を行使するようにアメリカから迫られてきたかを書いた「自衛隊憲法 日米の攻防」については 8月23日のブログを読んでください。
 
また防衛相元幹部が書いたこの本も読んでみてください。(かもがわ出版 1470円)
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