沖縄辺野古「不作為違法確認訴訟」判決について 白藤先生のお話。

9.28 日本政府による沖縄への弾圧を許さない集会

心配した雨も大したことなくて、集会の間はほとんど傘もいりませんでした。
デモ行進の終わりのころ小雨が降ってきました。
参加者は2500人。
集会から10日もたってしまったのですが、どうしてもお知らせしたいと思った白藤先生のお話を紹介します。
長いのでまとめようと思ったのですが、なかなか難しい問題で、まとめるのも大変なので、全部載せます。
9月16日の福岡高裁那覇支部による判決について、それがどんなにひどいものだったのか、知ってほしいと思いました。

専修大学教授 白藤博行氏
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白藤先生のお話。
沖縄弁護団を保護支援している研究者集団があって、沖縄県辺野古訴訟支援研究会のメンバー。その一員として、これまで行動してきたなかでそれを踏まえて、判決について少しだけふれさせてもらいたい。

判決について
前の知事がころっと変わって、埋め立て承認をした。
手続きもいいかげんにやった。
中味も結構、ずさんなやりかたでやった。
それに対して翁長さんが沖縄の民意を受けてその審査をやりなおしたら、とんでもない法的瑕疵があるというので、去年10月13日に取り消し処分を行った。
そこから沖縄県辺野古訴訟が始まっている
 
当初は(国は)突然代執行訴訟をしてきた
翁長さんに埋め立て訴訟をとりけせと指示をしたが、それに、翁長さんが応答しなかった
それだった俺たちがやるよ、といって、代執行してもいいかいと裁判を起こした。
それを聞いて、地方自治法でそれができるはずはないよというので
とんでもない代執行訴訟だというので 弁論をたてた。
 
その議論の経過の中で、今回の裁判の判決を書いた多見谷裁判官が和解しないか、という提案をしてきた。
そのときの内容も大変なもので、政治家か裁判官か、どちらかというと政治家のような内容。
当初はどちらもそれに応じる気配はない。そんなこと無理だという形だった。
いつの間にか両方が応じた。それぞれの思惑があって、和解に至った。
 
その和解なかでは、裁判所の和解勧告案と和解条項はすこしちがっているが、しかし、和解に至った。
何が問題かというと
これまでの起こされている訴訟はとりさげる。もう一回国は代執行を取り下げて最初からやりなおせ、是正の指示という国の関与からやりなおせ。
同時に沖縄県とはちゃんと協議をするのだ、という和解条項。
 
そういうことがあって、当然、沖縄は協議を進めるものと思った
 
3月4日和解成立
3月7日直ちに国は是正の指示を行ってきた。
 
協議なんてするつもりは毛頭ないということだった。
 
それに対して沖縄県は 国地方係争処理委員会というところに審査の申し出を行った。
この是正の指示は、適法か否かを審査してくれ、と審査の申し出を行った。

それに対して国地方係争処理委員会は60日間の長い期間をとって審査した結果、 
この問題は難しい問題がある。根本的な対立が国と沖縄県にある。国と県の間には共通の基盤つくりが必要であって 真摯な協議をすることが最善の道である、という風に結論した
 
沖縄県は、すぐに内閣総理大臣官房長官防衛大臣、国交大臣に協議を申し入れた。
国に協議の申し出をしたが国は応じなかった。
 
その間に時間がたってしまって、国地方係争処理委員会の決定から一ヶ月たった。
一ヶ月たっても国は沖縄県が是正の指示に従ってないことは違法だ、
不作為は違法だということで、国は裁判を起こした。
これが今回の裁判。
 
沖縄県は国の是正の指示があってから直ちに審査の申し出をして、議論をやりあいながら二か月以上の時を過ごした」
もう一回話し合いをしなさいと言われたら、誰だって話しあいをするじゃないですか
それを話しあいのことなどどこかにやって、聞きもしないで、ハナから不作為が違法だということしか考えてなかった。
それが国の態度。
 
これを受けて裁判所は、不作為違法確認訴訟の審議にはいった
 しかし、たった二回の審議で結審。
 
結審の日の裁判において、沖縄の弁護団が主張していることに 「ああ、徐々にわかってきました」、と裁判長がいうような事態だった。
そんな裁判長に判決が下せるのでしょうか
その結果
9月16日に判決は出たのだが、これが本当にひどい判決内容。
弁護団を支援する会も検討会をしたが憲法にもどづく法治主義も民主主義も地方自治も平和主義もあざ笑うような判決内容。
とても許すことはできない。
こんなことでは法治国家がなくではないか
 
国は翁長さんの埋め立て承認処分は違法だといって、是正の指示をしてきた。
一方、翁長さんは私たちが正しいと主張。
 
裁判は翁長さんの埋め立て承認処分が違法だったかどうかが争点になるはず。
しかし、今回の判決は翁長さんの承認処分のそのもの違法性を審査するのではなくて、
仲井間前知事やった処分が適法だったかどうかを審査。
 
仲井間さんがやった処分が適法だったら、適法な処分を取り消す翁長さんの処分は違法だろう、というもの。
 
埋め立て承認処分をするには県知事は裁量権を持っている。判断の幅がある。
仲井間知事は判断の幅を持っているから、その判断の幅の中で正しい判断をしたのだから、違法だとは言えない。
それを翁長さんが取り消したらのだから、適法な処分を取り消したのだから違法だということ。
 
これまで行政法の世界で、法律の世界で、そんな議論をやってきたことはない。
 
国防外交に関する事項について判決はふれている。
<国防外交に関する事項を国全体の安全や、国としての国際社会における地位がいかにあるべきがという面から判断する権限も、判断しうる組織体制も、あるいは責任を負える立場も沖縄県はないじゃないか。
本来知事に審査権限を付与した主旨とは異なり、地域特有の利害ではない米軍基地の必要性が乏しいあるいはまた、住民の総意であるとしても 40の都道府県すべての知事が埋め立て承認を拒否した場合、国防外交に本来的権限として責任を負うべき立場にある国の不合理とは言えない判断が覆されてしまい、国の本来的事務について、地方公共団体の判断が国の判断に優越することになりかねないじゃないか。
これは地方自治法の定める国と地方の役割分担の原則のもそわない不都合な事態である。>
 
何、言ってるか!
 
国の権限として、仕事として、国防外交が割り当てられているのだから、要するに国の本来的事務である国防外交については県は口を出すな、と言ってるわけです。
 
別に沖縄県は国防外交そのものをなんとかしようとしているわけではありません。
 
勝手に辺野古しかないと決めつけて、辺野古に新基地を作る。永久に沖縄を日本の防波堤にしようというその政策のもとで、ジュゴンが殺され、サンゴがつぶされ  そういうことを許さないと言っているだけなのだ。
そういう、県の言い分を捻じ曲げて、いかにも沖縄県が国の外交 防衛の事務を奪うということにしている。
とんでもないことです。
 
それから沖縄の民意についても書いているくだりがある
沖縄の民意は圧倒的に辺野古新基地建設に対してNOの意思を表している。

それに関わって、次のようにいっている。
沖縄県は、沖縄県自治が侵害され、さらに沖縄県民の民意に反し、地域振興開発の阻害要因を作り出すというような決定と言っていることに対して
本件埋め立てによる普天間飛行場の移転は沖縄県の基地負担軽減にしするんだと、そうである以上、本件新施設等の建設に反対する民意には沿わないかもしれないけど、普天間飛行場その他の基地負担の軽減を求める民意に反するとは言えない。>
 
何を言ってるんだと。
沖縄の民意は、選挙を通しても、この間のさまざまな運動を通しても、はっきりしてるじゃないですか。
辺野古に今まで以上の強固な基地を作ることがなんで沖縄の基地負担の軽減になるのか。
とんでもない認識だと思う。
 
もうひとつ。どうしても言わなければならないことがあります。
沖縄県は国の是正の指示に対して国地方係争処理委員会に審査の申し出をした。
国地方係争処理委員会は、1999年の地方自治法改正のとき、相当の議論をして直接裁判所に行くのではなく、まずは行政権の内部にきちんと公正中立な第三者機関を置いて、
そこで国の関与の違法性、不当性を判断する機関を置こうじゃないかということで設置された組織。
 
今の委員長は日本広報学会(憲法行政法、租税法等の研究者弁護士が所属している団体1500名くらい)、そこの理事長小早川光夫先生がその委員長をやっている。
今トップの方が委員会の委員長をつとめて十分議論をして、結局、国と沖縄県 もう少し真摯な協議をすることが、今回の根本的な解決だという結論をだした。
 
その国地方係争処理委員会のあり方について暴挙ともいえる内容の文章が書かれている。
<国地方係争処理委員会というのは、そこの決定は和解において 具体的には想定していない内容であったとはいえ、もともとは和解において、その決定内容は意味がないものとしており、実際の決定内容も少なくとも是正の効力は維持される程度のものにほかならない。>と言っており、いかにも 
国地方係争処理委員会の真摯な協議の見解が全く理解されていない全く無視されている
 こういう風に国地方係争処理委員会の意思決定も無理矢理ないものにしている。

和解の中でそうなっていると言ったのは全くデタラメ。
沖縄県弁護団、知事公室のいうことには、そんなことは全く言っていない、とにかく、
 国地方係争処理委員会では審議をちゃんとしてもらいと言って、はねのけた、ということが確認されている。
 
判決内容は、
事実のありかたから始まって、ここではまだお話できない行政法理論上、憲法理論上 あるいはもっと広く広く法律学上 許されない判決内容になっている。
 
この問題は 法律家として申し上げると、立憲対非立憲、法治対非法治、国治対自治 そして行政法理論も踏みにじっているので、行政法対非行政法 とでもいえる状況を呈している。 
 
私たちは法律家として精一杯最後まで戦うつもりだが、
私も沖縄を救いたいとかそういうおこがましい気持ちの問題ではなく
沖縄の自治の問題は日本の自治の問題だと思って、ここまでやってきた
 
問題はさらに超えて沖縄県の人々の生き死にの問題です。
憲法9条には戦争放棄は書いてあるが、国の責任放棄は書いてない。
もう一回考えてほしいというのと、 
足尾鉱毒事件で著名な田中正造という人をご存知ですか。
田中正造が次のようなことを言っておりました。
真の文明は山を荒らさず、川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。
それに言葉を借りていえば、 
真の平和、安全保障は 山を荒らさず 川を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし。
だと思います。

最高裁最後の最後までみなさんのご支援をお願いします。

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この判決を下した多見谷裁判長は、リテラhttp://lite-ra.com/2016/09/post-2567.html によると

多見谷氏は〈平成224月から同263月まで千葉地裁の裁判長を務め、行政(およびそれに準ずる組織)が当事者となった裁判を数多く手がけているが、新聞で報じられた判決を見る限り、9割がた行政を勝たせている〉というのである。しかも、この多見谷氏の着任人事が極めて異常だった。〈代執行訴訟が提起されるわずか18日前に、東京地裁立川支部の部総括判事(裁判長)から慌ただしく福岡高裁那覇支部長に異動している。この転勤が普通と違うのは、多見谷氏の立川支部の部総括判事の在任期間が12カ月と妙に短いことだ。裁判官の異動は通常3年ごとである。

「前任の須田氏は『薬害C型肝炎九州訴訟』で国と製薬会社の責任を厳しく指弾して賠償を命じるなど、リベラルな判決を出した“過去”があるので、外されたと見るべきでしょう。そこへいくと多見谷氏は“アンチ住民”の態度が鮮明です。


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集会のあと、デモ行進に出発。
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基地はいらない
辺野古にいらない。
高江にいらない。
全基地撤去!
戦争反対

全国統一署名も始まりました。 

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