安倍政権が憲法に盛りこもうとしている緊急事態条項とは。


昨日22日は参議院議員会館で、選挙で安保法制廃止をめざす「ミナセン(みんなで選挙)市民勝手連シンポジウム」があり、参加してきました。
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選挙で安保法制廃止をめざす各地で立ち上がってきている勝手連から、その取組の報告がありました。 ここでは勝手連からの報告の前に、小口弁護士と太田弁護士から聞いたとても大事な緊急事態条項について書きます。
長いですが、とても重要なので最後まで読んでください。
緊急事態条項とは

なぜ今選挙なのか! 小口弁護士と太田弁護士の話。
小口弁護士のお話。
まず話したいのは「災害をダシにするな」
みんな東日本大震災が起きたときも、何か役に立ちたいと思う。
そういう思いをダシに使おうとしているのがいる。

概要(小口弁護士の資料より)
内閣総理大臣閣議で緊急事態を宣言。
宣言後は、内閣は法律と同一の効力を有する政令を(内閣だけで)制定できる。
宣言後は、何人も、国の指示に従わなければならない。
宣言後、衆議院は解散されない。
緊急事態宣言・政令は事後に国会承認。緊急事態が100日を超えるときは事前承認。国会承認は衆議院優先。衆議院過半数で、ずっと緊急事態。与党議員主権へ。

憲法9条改正よりもよっぽど恐ろしい緊急事態条項。
自民党改憲草案の98条と99条
緊急だと安倍さんが思ったら、緊急事態を宣言。
安倍さんは法律と同じ効力のあるものを内閣だけで作ることができる。
何人も国の支持に従わないといけない。
衆議院は解散されない。
そして緊急事態を宣言とこの政令についてはあとで国会の承認を得なければならないとなっているが、与党の党首は内閣総理大臣衆議院の優越となっており、衆議院過半数を持っている人が内閣総理大臣になっているのだから、通り続けるに決まっている。
衆議院過半数を持っていれば自由自在に緊急事態にできる。
国民主権というより、与党議員主権に移すような規定。
これが改憲の候補の一つ目にあがっていて、憲法9条よりよっぽど危険。
これは憲法の学説のなかで、国家緊急権という。
何かが起きたあとにあわてて対処するために衆議院、そして参議院過半数を持っている人は国会の手続きを省略することができる。
安保法案のときに経験したと思うが、内容がどんなに違憲であっても、国会の過半数を持っていれば法律は通る。
国会さえ開くことなく一気に内閣だけで決めることができるようになる。
なんでもかんでも内閣だけで決めることができるようになるのが国家緊急権。

国家緊急権とは
戦争、内乱、恐慌ないしは大規模災害など、平時の統治機構をもっては対処できない非常事態において、国家の存立を維持するために、国家権力が、立憲的な憲法秩序を一時停止して非常措置を取る権限。
要するに、起きたあとにあわてて対処するためのもの。衆参の過半数をもっている場合は、単なる国会承認の省略権限。魔法の杖ではない。事前準備と訓練が鉄則の災害では役に立たない。
                                 (小口弁護士の資料より)

安倍さんは災害直後、国民の生命、生活をを守るためにという方便で通そうとしている。
そんなことはない。
災害が起きたあと、何をやっても国民の生命を助けられるものではない。
事前に準備して訓練をしておかないと災害には対応できないことは311の震災のときにみんな知ったこと。
東日本大震災の教訓を踏まえた法律の改正などは一通り国会で終わっている。
十分な法律がある。

現在緊急事態中であることを知っているか。現在、原子力緊急事態
災害対策基本法の中にもすでに災害時緊急布告や知事による従事命令などがあり、
災害救助法など、十分な法律がある。
諸外国が定めているようなものは日本の法律に全部定めてある。
それは日本は最先端の災害王国だから。
教訓もあって法律も充実している。
もし、足りないなら法律を改正し、訓練すべき。そうやて対処するのが先人のやってきたこと。

日本国憲法に緊急事態条項がないのは、先人が「ない方がいい」と判断したから。
日本国憲法大日本帝国憲法が改正されてできたもの。大日本帝国憲法には緊急事態条項があったが、意図的に削除した。
昭和21年7月2日 帝国議会衆議院憲法改正委員会の金森国務大臣の答弁がすべて。
要旨「緊急事態条項は行政当局者にとりましては誠に調法なもの。調法というのは国民の意志をある期間無視できる制度ということ。なくてよいならない方がよい。昭和21年から過去何十年の日本の歴史に照らして、間髪を待てないというほどの急務はない。そういう場合は臨機応変に対応できる。新たに緊急の措置を必要とするのは程ほど余裕のある事柄。そういうときは、臨時に国会を召集して解決。そこで憲法の緊急集会が機能する。

たとえばこの前のフランスのテロ。最初に使ったのは緊急状態法。あれは12日間しか使えない。
フランスでは12日以内にこれを延長するかどうかは国会を開いて決める。
自民党改憲草案では緊急事態の期限は設けていない。100日を超えるときは事前承認が必要。

被災地の弁護士会はみんな緊急事態条項はいらないと言っている。
311の後、国会で慌てて法律を作っていない。
選挙の延期と国会議員の給与を減らして復興にあてるというのを翌月に作っただけ。
国民の生命や生活を守るために法律を作っていない。

アメリカの憲法には緊急事態条項は入っていない。

どうみても緊急事態条項の必要性はない。
それなのに、なぜ緊急事態条項を憲法に入れようとするのか。
それは、憲法を変えたいだけ。
しかし、
自民党改憲草案をそのまま出してこない。
彼らは議員の任期延長という無色透明そうなカードで勝負してくる。

選挙を行う直前に大災害が起きたら選挙ができない。だから憲法を変える、というだろうが、
そうじゃない。
大災害が起きたから選挙ができない。だから議員の任期延長じゃなくて
大災害が起きても選挙ができるような制度に改める。
今の憲法の中で解釈でできないのか→できる。
憲法9条自衛隊をもったり、集団的自衛権をもつような解釈をするよりよっぽど常識的。
4年前によくわからない争点で当選した議員に復旧、復興政策を決めてもらうのではなく、
大災害が起きたら、その次の復興政策は、選挙をやって政策を民意に問うのが必要。
主権者が決めるのが民主主義。

議員の任期を延長というのは、だれが決めるのか?
国会議員に国会議員の任期の延長を決めさせるのか。こういうのをお手盛りという。
与党の党首の安倍さん、内閣総理大臣に決めさせるのか
こういうことは、諸外国に例がない。
濫用のおそれが非常に高い。
まだ緊急事態だといって、議員の任期を何度も伸ばす。
国会議員主権になってしまう。→選挙をやれ。
無色透明そうだけど、無色透明ではない。
我が国は災害大国だから災害が起きたときにも選挙ができるようにすべき。
被災地で選挙をしようと思うから難しい。
避難先でもどこでも日本中、どこでも投票できるようにすればいい。
どこの郵便局でも預金がおろせるように。

だからこれは憲法を変えたい人がどこなら国民の賛同を得やすいかで、導き出してきた答え。
彼らは憲法を変えたいだけ。
今日、話したことはほんの一部。昨日YOKOHAMAデモクラシー道場で話したことはIWJの中継があったので、近日アーカイブスで公開される予定。そちらも見てください。

小口弁護士の連絡先はoguchilaw@nifty.com

それではどう行動したらいいのか、それは太田弁護士から。
緊急事態条項が参院選までに常識になってほしい。
あと三か月で、流行語大賞になるくらい、この言葉を広げてほしい。
これを知った人ひとりひとりがメディアになって発信してほしい。

弁護士仲間がやっていること。
憲法カフェ。 2013年の4月から。 どこでも行って話す。

選挙の争点ー立憲主義について。
今度の選挙では立憲主義が問われている。
そもそもなんで憲法が存在するのだろうか。
根本にかかわる問題。
自分でわかっていることと人に説明できることは別だから、今日から選挙までに最低10人に話してほしい。これが選挙の争点。
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だれが守らないといけないのか、というのが違う。
憲法というのは国家権力に向けられている。
主権者はわれわれ国民が、こういう政治をしてね、というのを国側にパワーを預けている。
こういうことをしてね、してはいけないというのを注文つきで国に権力を預けている。
その注文指示が憲法なのである。
憲法は私たちが作って、我々が守らせる側。国に対して。

法律はみんなが守らないといけない。
なんで守らないといけないのか。
法律は誰が作っているのか。
国会議員が作っている。
国会議員が作ったのを守らないといけないのは、国会議員が私たちの代表だから。
国会議員が決めたことは≒ 我々が作ったもの。

法律は自分で作ったルール。自分を縛るものは自分が決める。
自分の代表が選ばれているのか、
代表としての行動しているかということはチェックしないといけない。
国会議員がルールを守っているかはチェックしないといけない。

憲法は国民がまもらないといけなうと思っていたという人が多い。それは違う。
憲法は守らせるもの。

こういう概念を立憲主義
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これはあたりまえのことなのに、
緊急事態条項は、この立憲主義を停止しようとするもの。
憲法を守っている場合じゃないから、一時的に停止しよう」というもの。
これが憲法の中に入ったら、自爆装置になる。

この国の政権を担っている政治家は立憲主義を軽視している。
↓は国会での発言。
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この国は、9条を変えるかどうか、という以前に立憲主義をやめるかどうかが問われている。法治国家で居続けることをやめるかどうかが問われている。
その中ででてきている緊急事態条項をまず憲法の中で変えていこうという流れ。
ぜひ、まわりの人に話してほしい。

小口弁護士
第二次世界大戦ナチスで起きたといわれているが、
あれの突破口は全権委任法、
その前に憲法の緊急事態条項だった。

世界中の国々は立憲主義と緊急事態条項をどういう風に調整したらいいかを考えた。

ドイツは、憲法の中にいれるが、議会、裁判所で縛る。
日本の先人たちは憲法にいれない、削除した。それが先人たちの血の流れ。

それを安易に憲法を変えたいために入れようとしているのがこれからの流れ。
それぐらい重いものなのだということを知って、広めていってほしい。

<日本は災害大国。いつ災害がおきるかはわからない。選挙は主権者が国政について直接権利を行使する唯一の機会。災害が起きても揺るがない選挙制度をつくることこそ選ばれる立場の国会の仕事。
大規模災害がおきたからこそ選挙はやるべき。各党に、国家の復旧復興政策、今後の国のあり方を語ってもらい、主権者が選ぶ。これこそ民主主義。
議員の任期延長は、いつまでも選挙が行われない、国会議員主権を実現しかねない危険なもの。
濫用の恐れ大。国のあり方を主権者に無断で勝手に決めるな。
やることは、公職選挙法の改正。災害が起きても選挙をできるようにしてください。>
                                             (小口弁護士の資料より)

太田弁護士資料↓
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地域の勝手連からの報告は次回に。↓