戦争する国づくりと地域住民 秘密保護法・集団的自衛権行使と地方自治

「戦争する国づくりと地域住民 秘密保護法・集団的自衛権行使と地方自治」というタイトルで、「秘密保護法廃止をめざす藤沢の会」は先月、学習会を開きました。
講師は自由法曹団の田中隆弁護士でした。
 
安倍政権になってから、海外で戦争できるようにする体制づくりが突き進んでいる。速度がものすごく速い。
 
秘密保護法が成立してもうすぐ一年。来月12月10日に施行されようとしています。
ここでこの1年の動きをおさらいしてみましょう。
 
2013年11月 国家安全保障会議の法律を強行成立。
これは安全保障面の司令塔となるもので、首相、官房長官外務大臣 防衛大臣の4人で中枢のことを決める。とはいっても、彼らは情報を持っているわけではないので、国家安全保障局には外務省と防衛省から精通したスタッフをいれて、彼らが仕切ることになる。http://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/anzenhosyou.html
 初代局長は谷内正太郎(やち しょうたろう)
 
2013年12月6日 それと並行して出されていた秘密保護法が強行成立
秘密保護法の目的は、軍事情報をどのように管理し、国民を統制するか。
防衛や外交の重要なひみつを国民やマスメディア、国会や裁判所から権力的に秘匿する。それらに知られないようにする。
だれが知っているか。それは行政官僚だけ→情報の官僚独占法
内閣総理大臣にも秘密にされる。
政治的には、海外で戦争をする国の体制をつくるための先駆け。戦争体制をつくるためには、情報が完全にコントロールできる情報統制が必要。

2013年12月17日  秘密保護法の成立を待っていたかのように「国家安全保障戦略」という文書が作成。新「防衛計画大綱」「中期防衛力整備計画」が作られた。
 
この5年間ぐらいの軍事ビジョンができた。
自衛隊を海外で現実に戦闘ができるような形に再編する。陸海空を統合軍化する。この国の中で守ることを考えているのではなく、撃って出ていく。
海兵隊と同じような機能を持った部隊を自衛隊で作る。もう作りにかかっている。
 
自衛隊はあくまで国民と国を守るためというのがたてまえ。こちらから敵に向かっていく能力はもたない、考えないというのが建前であったが、これからは、そういうことを考えていい。撃たれるのを待つことはない、撃ってでていく。敵基地攻撃能力。それを着々と進めている。
 
2014年4月 武器輸出禁止3原則をやめて、防衛装備輸出三原則に切り替えた。これからは武器の共同開発をして輸出していく。三菱重工など武器を作っている企業は歓迎。
 
2014年5月15日 安倍首相の私的諮問機関 安保法制懇が報告書を出し、集団的自衛権、グレーゾーン・海外での武器使用の拡大、戦争する方向に引き寄せる答申を出した。
 
これを政府の方針にするための論議が一か月近く続いた。国会で法案が出ているわけではなく、政府の中でどうまとめるか、自民党公明党、政府と自民党、外務省と防衛省でつなひきをやって、まとまったのが7月1日の閣議決定
2014年7月1日 集団的自衛権行使容認の閣議決定
 
しかし、閣議決定では閣僚以外は拘束されない。
日米ガイドラインを経て、来年5月に国会で安全保障一括法案が強行されると現実に自衛隊が海外の戦争に撃って出れる。
 
閣議決定と国会審議の間にあるのが日米ガイドライン(防衛協力のための指針)。安全保障をどうするかと決めるとき、日本だけでは決められない。
国会に法案を出す前に日米で協議。先にアメリカの同意が必要。
そのような独立国家がどこにあるのか。法案がでるときには日米ガイドライン見直しをし、改訂もやった上で出てくる。
 
2014年10月8日
日米ガイドラインの中間報告が出され、周辺事態が削除され、日本周辺に限定した地理的な制約をなくすなど、日米の防衛協力を、地理的にも機能的にも大きく拡大させる内容となっている。今回の中間報告の大きな特徴は、日米協力の地理的な制約を外した点である。
 
日米両政府は、年末で合意している日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の最終報告について、先送りする検討に入った。
公明党集団的自衛権行使を日本周辺に限り、米国への協力も日本の安全に直接かかわる最小限の事態にとどめたい考えで、自民党との解釈の隔たりが今のところ埋まっていないようだ。
 
政府や自民党が、彼らなりに戦後日本は平和国家の道を歩んできたのだが、ここで憲法9条を大事にしてきたという枠組みを変える。
軍事の面で、戦後という意味を脱却しようとしている。
 
ここまでがこの1年間の流れです。
あっという間の一年でしたが、秘密保護法は来月12月10日に施行されようとしています。ひとつ前のブログにも書きましたが、民主党も巻き込んで、とにかく施行延期に世論を高めねばなりません。
 
この勉強会で知ったことは、日本が戦争する国への準備は急に始まったわけではなく10年前の有事法制が作られたときから始まっていたのです。
 
有事法制秘密保護法、集団的自衛権と三段かさねで戦争する国づくりが進んでいっている。
 
有事法制とは、端的にいえば、「戦時」法制です。日本が戦争をする時に、政府、自衛隊、そして国民がどう行動するかを決める法律だといえます。
2001年 小泉内閣成立、(2000年にブッシュ政権成立)
      911事件→テロ特措法
 
2004年4月 小泉政権は有事関連法案を国会に提出し、その後、継続審議となり、
2003年に強行採決で成立。武力攻撃事態法(プログラム法)と個別法。
2004年に有事法制を現実化するための法律「国民保護法」などが作られた。
 
個別法とは3つのジャンルに別れている。
自衛隊の作戦・兵站に関する法制→つまり軍隊をバックアップするための法制。 それは自衛隊法が中心/ そのほか特定利用施設等利用法
 港湾を軍事優先にする。道路軍事優先するなど。
・米軍の兵站に関する法制 米軍支援法/ACSA(日米協定)
 日本では、自衛隊がどう戦争するかだけでなく、アメリカの戦争のバック アップ(  兵站)を決めている
 米軍支援法では、自治体や民間企業が支援・協力義務がある。
・国民保護法 戦争になったら住民に被害が出るから国民保護法
 
どういうとき有事法制は発動されるのか。
武力攻撃事態になったとき。(武力攻撃が発生したとき、明白な危険が切迫している事態)
武力攻撃とは、我が国に対する外部からの武力攻撃のこと。
 
武力攻撃事態になったらどうするか→政府は戦争体制に入れる。対処基本方針の策定。閣議決定→国会が承認すれば戦争に入れる。
 
戦争は緊急を要するときがあるから、国会の開会を待てないとき、
そのときは国会の承認がなくても戦争体制に入れる
事後承認でもいいが、あとで国会で反対されても、戦争が止まるか。
 
武力攻撃事態がみとめられたら自衛隊が動き出す。
我が国を防衛するため必要な武力を行使することができる。
自衛隊が出動して敵を攻撃できるのはこの条文のこの場面だけ。(自衛隊法76条防衛出動)
武力攻撃事態が認定されなければ武力の行使はできない
 
有事法制の中で、地方地自体がどう位置付けられているか
国民保護法とは
自治体は国民を保護して守る →国民保護法
戦争と戦災を自然災害とみなしている。
台風みたいに戦争の危険が近づいている。この辺に戦争が近づいている。この辺のみなさんには警報を出す。
そのときは退避。住民の避難。町ぐるみで疎開
町ぐるみの疎開。避難民に救援する必要がある。
その状態でこの町が攻撃され、町は焼野原。→武力攻撃災害。
なんとか対処しなければならない。火を消す
事態が終わったら戻ってくる。
こういうシナリオで描いたのが国民保護法
 
戦争と自然災害と同じに見立てるとはとんでもない。
自然災害と違って、戦争は避けられる。
まず戦争を避けるための努力をすべき。
 
災害は一過性。追撃をかけてくる敵はいない
戦争は一回で終わらない。爆撃が一回あって、それで終わりにはならない。追撃をかけてくる。
戦争と自然災害をいっしょにするのは間違いだと言ったが、この法制は作られて、今も各地でその準備が形の上でなされている
 
本土上陸も含まれている
自治体ぐるみで住民が避難する
軍隊がやってくれないから、地方自治体が中心。
消防、商店会、病院、学校が総ぐるみで考えないと市民全部は避難できない。
国民保護計画の作成が地方自治体に命じられた
 
断じて作らない自治体もある。東京国立市、千葉の長生村と沖縄のいくつかの自治体。作らなくても不利益なかったと言っている。
 
その計画を作った以上演習もやる→国民保護演習
各地で訓練が行われており、地方自治体職員が動員のために組みこまれている。
国民を動員しないと戦争できない。
徴用徴発が自衛隊法にも組み込まれている(130条)
(徴発:現地住民を徴用して陣地の構築や架橋、道路整備や鉄道の敷設などの強制 労働に従事させることを含む。兵として徴発することはとくに「強制徴募」と呼ぶことがある)
国民を動員して自衛隊と米軍をバックアップ。
 
10年間、何もなかったので、多くの人は有事法制のことは忘れたかもしれない。風化しかけていた。しかし、今、新しい事態になって、風化しない方向に進むことになった。
 
有事法制が成立したころ、
そのころ起こっていた戦争はアフガン戦争、イラク戦争であり、日本は本土決戦は想定していなかった。
アフガニスタン空爆を加えている米軍に給油しているのは戦闘行為にあたり、敵と思われても仕方がなかった。
しかし、政府のだれひとり反撃をうけるとは考えていなかった。
アフガニスタンには空軍もいなかった。反撃されることはなかった。
あの戦争で、この国の住民避難が起こるとは思ってなかった。
有事法制は後方を固めて抑止力にすることを想定していた。
 しかし、これから変わっていくだろう。

海外派兵の拡大がもっとも危険。戦死者第一号が出る可能性が高い。
自衛隊海外派兵の縛りをぜんぶはずす。
憲法解釈の変更により、撃たれなくても撃っていい。
アメリカとの関係では全く限定にはなっていない。
アメリカに対する攻撃が発生したら、どこで発生しようと我が国は攻撃することを言っている。
軍事同盟とはそんなもの。
軍事同盟のメリットは、お宅が危なくなくてもうちを助けてよ。
日本の周辺だけの話では抑止力にはならない。
 
アメリカを助けるために他人の喧嘩を買ってでもいく。
政権はそれをはっきり言うべき。
集団的自衛権行使ができるようになったら、平和国家からの脱却。海外で戦争する国になる。行使されたところから見ると、日本から先制攻撃されたとみられる。
攻撃していないのに、された。
全部法制化されたとき、海外で戦争する糸口がどれだけ増えるかをもう一度咀嚼しなおすべきだと田中弁護士は話されました。
 
そして来月施行されようとしている秘密保護法と集団的自衛権はセットになっている

「まぜるともっと危険」というチラシを「明日の自由を守る若手弁護士の会」(あすわか)が作ってくれました。
あすわかHP http://www.asuno-jiyuu.com/
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チラシはここから自由にダウンロードしてもいいということです。

秘密保護法についての問題点はひとつ前のブログにも載せてあります。
集団的自衛権とまぜるといっそう危険になる秘密保護法の施行はなんとしても食い止めなければならないし、この法律の廃止に向けて、あきらめず、声をあげつづけなければなりません。


もう一度この法律の怖さのおさらいを。 
防衛や外交の重要なひみつを国民やマスメディア、国会や裁判所から権力的に秘匿する。それらに知られないようにする。
政治的には、海外で戦争をする国の体制をつくるための先駆け。
戦争体制をつくるためには、情報が完全にコントロールできる情報統制が必要。 
国会や裁判所、メディア、国民は知らない。
だれが知っているか。それは行政官僚だけ→情報の官僚独占法
内閣総理大臣にも秘密にされるのに、よく安倍さん、こんな法律を出したものだ、と。


戦争させない・9条壊すな!11.11総がかり国会包囲行動
日時:2014年11月11日(火)18時30分~20時00分
場所:国会議事堂周辺
主催:戦争をさせない1000人委員会/解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会